全国でヒグマ・ツキノワグマによる人的被害が相次ぎ、深刻な社会問題となっている状況を受け、防刃装備品ブランド「SSP(エスエスピー)」を展開する株式会社SYCO(本社:兵庫県神戸市)は、刃物犯罪対策で培った防護技術を応用し、民間でも現実的に着用できる「熊対策用防護服」の開発を開始しました。
本開発では「熊による攻撃の完全防御」ではなく、「致命傷や後遺障害の低減」を主目的とし、現場で実際に使える軽量防護服の実現を目指します。
現在、行政機関(自治体など)や大学・研究機関、猟友会、個人猟師など、熊対策に関心を持ち協力していただける方々を広く募集しています。
本開発は、現在量産準備中の「日常で着られる防刃服」SSPジャケットをベースに、熊の爪や牙による裂傷・刺突に対する防護性能を強化した新型防護ウェアとして設計し、2026年度中の製品化を目指します。
「SSPジャケット」は2025年10月にクラウドファンディング「CAMPFIRE」で製品化されたモデルで、体幹部のみならず首・頭部・腕部にも防刃素材を搭載した“拡張型防刃ベスト”として590万円超の支援を獲得し、現在量産製造を進めています。

いかに防護性能が高くても、特殊部隊のような重装備では民間での現実性が乏しいという課題があります。
SSPの防刃パネルは、刃物の刺突にも耐える高強度でありながら、非金属素材による軽量構造で、体にフィットしやすく動きやすい設計が特徴です。
SSPでは「日常で着られる防刃ウェア」を理念に、違和感のないデザインと実用性を両立した防護服の開発を進めています。
現在、熊による攻撃パターンや被害実態に関するデータ収集を進めていますが、実地での検証は容易ではありません。
そのため、現場での着用検証や知見提供にご協力いただける団体・個人を全国から募集しています。
ご協力いただいた方々には、貢献内容に応じて開発中の試作品や完成品を中心に提供する予定です。
なお、活動内容により謝礼をお渡しする場合もありますが、基本的には物品提供によるご協力を予定しております。得られた知見は、今後の改良・製品設計に活用してまいります。
【開発の要旨】
既存の防刃技術を基盤としつつ、熊の攻撃特性に対応するため、以下の要素を中心に研究開発を進めています。
・顔面・頭頸部など被害の多い部位への防護素材の追加
・重要箇所への衝撃吸収を目的とした耐衝撃素材の採用
・着脱可能な防護パネルによるカスタマイズ設計
・山林での視認性を考慮した明色系カラーの検討
これらの要素を段階的に検証し、実地テストの結果をもとに、熊外傷被害を最小限に抑えうる実用モデルの実現を目指します。
【背景】
環境省によると、現在、熊による人的被害件数は過去最多を更新しており、その分布は拡大傾向にあります。
既存の「撃退スプレー」や「音による威嚇」では防ぎきれないケースも多く、実際の攻撃に耐えうる物理的防護手段の確立が急務となっています。
実際に「SSPジャケット」のプロジェクトを見たユーザーからも、「クマ対策として着用可能か」という問い合わせが複数寄せられており、本プロジェクトの必要性を強く感じています。
SSPでは、防刃装備の研究開発で培った経験と素材技術を熊対策に応用し、人命被害の低減に直結する防護手段の実用化を進めています。
本プロジェクトは、「防刃」から「防獣」への技術発展を通じ、現場と研究の両面から新たな防護基準づくりに挑む取り組みです。



